見てきました。
よかったです。

原作を読んだ後に映画を見ると、私の場合失望してしまうことが多いのですが、この映画に関してはそれはありませんでした。

もちろん、原作と違う部分はいろいろあります。
けれども、それが気にならないというか、素直に「なるほどぉ、そうきましたか」と思えるというか。

違和感を感じたのが2カ所ほどありましたけど……。

ひとつ目は、博士の義姉が、博士のことを会話の中で「義弟」ということ。
小説では、活字ですから「義弟」でいいと思うんですけどね。
普通、会話の中で「義弟」っていいます? 「義理の弟」って言いません? そんなことないのかなぁ。
「ぎてい」って音の響きに、私は違和感があったのですが……。

ふたつ目は、もうちょっと深刻というかなんというか。
家政婦をクビになった後、息子の「ルート」が博士の家に遊びに行き、義姉から呼び出された場面。
自分にとって博士との時間が大切だった、ということを、家政婦が強く主張するのですが、その「自分にとって」というところを強調するところが、なんだかすごく、自分勝手というか、「自分のことしか考えてないんか」と思ってしまってちょっと鼻につきました。
ちょっと原作から受けるイメージとギャップを感じてしまいました。
もっと息子や博士のことを考えた発言があってほしかったな、とか思ったりしました。

そのほか、特に、原作よりも、博士と義姉の関係がはっきり描かれているのですが、これは成功だと思います。
浅岡ルリ子さん演じる義姉の存在感が、より強くなっています。

全体的には、とてもいい映画だと思いました。
原作を知らない人にも、原作を読んだ人にも、薦められる映画です。