唯川 恵
ベター・ハーフ

バブル絶頂期、年号が昭和から平成に変わった年に結婚した、ある夫婦の物語。

結婚式当日から起こるハプニングの連続に、何度も離婚を考えながら、それでも「夫婦」という関係を続けていく。
主人公だけではなく、まわりの登場人物たちにも様々なできごとが起き、みんなが夫婦とは、家族とは、という問題に直面しながら生きている。

主人公の夫婦二人、永遠子(とわこ)と文彦、それぞれあまりに自己中心的に思えていらいらさせられるけど、それぞれの言い分は、わからなくはない。

こういうのを読むと、改めて「結婚ってなんだろう」と思ってしまう。

小説で結婚のいやな部分を見て(仮想体験して)、いわば「耳年増」状態になって、結婚に幻想を抱かなくなることは果たしていいことなのか悪いことなのか。

文彦の母の言葉が印象的。

「夫婦って、本当にいろんなことがあるのね。もう四十年近くやってるけど、ずっと、こんなはずじゃなかったっていうのの繰り返し」
「たぶん、これからもね」